住宅街を歩いていると、無造作に南側に開口をとり、外の風景に対して開いてはいるが、カーテンが厚くかかり、内部と外部が遮断されている住宅を多く見かける。プライバシーの確保---。都市部で暮らしながら外部に大きく開けており、かつプライバシーも保護される方法はないものか・・・。 答は案外簡単である。“コートハウス”という方法が昔からある。しかしこの手法は、日本の一般的な住宅の中でそれ程評価され、とり入れられてきたとはどうしても思えない。都市の極端に小さな敷地には、元々都市型のプロトタイプといえる住宅が存在しているが、一般の整備された住宅街にはあまりこの方法が実践されているのを見たことがなかった。ましてや住宅メーカーにいたっては皆無である。
南面道路に接するこの素晴らしい敷地に対する計画は本来なら南側に庭をとり、北へ建物を寄せてとなるのが一般的であろう。しかし、道路を挟んでやや敷地が高くなった対面の住宅から、住居内が見事に見渡せてしまう。とはいえ、常にカーテンを閉じたままで、うすもやのかかったような憂鬱に閉ざされた空間は作りたくはないと考えた。長い検討の末、最終的にコートハウスの手法で計画することにしたが、この住宅は初期の案のままほぼ完成している。敷地の中央にできるだけ大きな庭をとり、それを住宅の各機能でとり囲み、中庭に向かって各居室はすべてガラス貼りとして、常に外部と一体となった空間で生活できるように設計した。サッシとサッシのジョイント部分は構造材をそのまま活かして、できる限り贅肉をそぎ落とし、内部と外部の連続性をより明確にしている。また、モジュールを徹底的に整理することによって、より少ないエレメントで建物を構成し、この住宅の持っているシステムをより明快に表すことができた。都市性と開放性を併せ持つ住宅、この矛盾を解決するひとつの手段として新しい住宅のプロトタイプを模索するのである。
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